ミニマリズムは消費文化を打ち砕くか
僕らは壊れてもないのに新しいスマホを買う。
まだ着られる服を捨てる。
車を替える。
引っ越す。
その日の気分のために靴を増やす。
明日の服のために雑誌を読む。
来週の旅行のための一眼レフ。
1年後の結婚式の下見に行く。
Prime Dayに張り付く。
還元セールのうちにpay payを使う。
早くゴールドカードにしたい。
増税前に買っとくものは?
あれ。
カードの請求が思ってたより多いぞ。
引っ越したから家賃も上がった。
車のローンはあといくらだっけ。
嫌だな。
インスタでも見て気を紛らわそう。
友達はリゾートで夏休み。
ストーリーにはカッコいい時計の広告。
これを買ったらいいねが増えるかな。
カードの請求は厳しいけど今使った分は再来月の支払いだし。
いいや。買っちゃおう。
でもだんだん気づいてくる。
よく考えれば必要のないものばかりだ。
化粧台にはもう香水の瓶ひとつ置けやしない。
ロフトには開けもしないダンボールが何箱もある。
もうこんなことはやめよう。モノを減らそう。
手始めにミニマリズムの本を買おう。
ミニマリスト用の小さなセンスの良い部屋に引っ越そう。
高くても「本当に良いもの」を少しずつ買おう。良いものは長く使えるんだから。
この石鹸を買うと環境団体に寄付されるんだって?それならこれは本当に良いものだ。
自然を愛するからマウンテンパーカを着よう。もうファストファッションなんか着ない。
これで安心だ。
僕は私は、もう資本主義に踊らされた哀れな消費者なんかじゃない。