YouTube Premiumでエンタメはどう変わるか

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2018年11月14日、日本でもYouTube Premiumがローンチしました。

 

概要については多くの記事で書かれている通りなのでここであえて深堀りすることはしませんが、重要なポイントは下記と考えています。

 

YouTubeが広告による収益モデルを捨てようとしている

 

YouTubeがオリジナルで制作するコンテンツは課金ユーザーにしか見せないつもりだ

 

(②は無料モデルでも放送される可能性はあります)

 

これまで世界中のインターネットユーザーはちょっとうざい5秒の広告を我慢することで、1日に10億時間も再生されるYouTube上の動画を全て無料で観ることができました。

 

また、YouTuberと呼ばれる人たちは自分が作った動画コンテンツに広告を差し込むことで「好きなことで生きていく」ことができていました。

 

しかし、これからは違います。

 

Googleが年間300億ドル近い利益の中から多額の投資をして制作するオリジナルコンテンツは、月額¥1,180という他のVODサービスと比較しても決して安くない金額を払えるユーザーのみが楽しめる”プレミアム”なサービスになります。

 

YouTuberは広告収入が減少し、自分の好きなことだけでは稼げなくなり、企業の商品を紹介する(いわゆる企業案件)という道へ進むか。

企業案件を斡旋してくれる事務所に所属していないYouTuberは、YouTubeで生きていくことはできなくなるでしょう。

 

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月額課金制でサービスを受けられる「サブスクリプション」というビジネスモデルは近年急増しており、特にこの動画領域ではまさに戦国時代の様相を呈しています。

 

レンタルビデオサービスから切り替えて大成功したNetflixは世界的にも現状覇権を得ていますが、そんなNetflixも生涯安泰とは言えません。

 

映画配給会社のディズニーやワーナー・ブラザースもVODサービスへ乗り出そうとしており、おそらくサービスローンチ後には現在Netflixなどに卸している自社コンテンツを引き上げ始めるでしょう。

 

そうすると私たちユーザーは観たい映画やドラマ、アニメを観るためにはそれぞれのサービスで月額を払うことになります。

 

Netflix, Amazon Prime Video, Hulu, Disney, Warner... YouTube Premium.

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こうなることで動画コンテンツ、エンタメ業界、果てはポップカルチャー全体はどう変わるでしょうか。

 

まず、無料YouTubeの広告モデルで生き残ろうとするYouTuberたちは月額を払えない層をターゲットにし始めます。

 

貧困層と若年層(10代以下)です。

 

同じことは民放にも発生します。

テレビコマーシャルによる広告モデルで生きているテレビ局は画面の向こうで15秒や30秒に耐えてコンテンツを観てくれる人たち(貧困層と若年層と老人)にウケのいい番組作りに切り替えます。

(これはすでにそうかもしれません)

 

貧困層は質の悪いエンターテイメントを広告に耐えながら閲覧していくことになるわけです。

 

一方で広告主側も次第にそういったコンテンツの合間に自社のブランドが挟まれることを好ましく思わなくなります。

 

テレビの終焉です。

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これでめでたしめでたしなんでしょうか。

 

ポップカルチャーはどんな家庭の人にも等しく楽しみを与えることで人生に希望を与えるものではないのでしょうか。

 

 

広告を我慢してサービスを楽しむという長くエンターテイメント業界を支えてきた構造が変わろうとしています。

 

本当にこの流れでいいのか。

 

そんなことを思ったので書きました。